たまに思い出したように真面目っぽい話。
日本音楽著作権協会の吉田茂 理事長は
「私的複製の制限については、ベルヌ条約(著作権に関する国際条約)にも記載されており、日本でHDD/フラッシュメモリオーディオなどに関する補償金制度がないのは条約違反ですらある」
だそうです。(詳細は末尾記事。)
ベルヌ条約の複製権に関して定めた条文第九条(2)では著作権者の複製権を制限する権利の留保を加盟国に認めていて、そもそもその権利の制限に関する細目を日本の著作権法第三十条で設定しているわけですが。
ベルヌ条約第九条(2)
「特別の場合について(1)の著作物の複製を認める権能は、同盟国の立法に留保される。ただし、そのような複製が当該著作物の通常の利用を妨げず、かつ、その著作者の正当な利益を不当に害しないことを条件とする。」
著作権法(日本)
第五款 著作権の制限 (私的使用のための複製)
第三十条
「著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。」(以下各項で例示)
今回の標的である音楽に関して、レンタルCDの場合、貸出による利用者の私的複製の補償と店の収益に対する課金をやっているわけなのにデジタルだと劣化がないからとデジタルメディアへの複製を禁止させて、例外として補償金をメディアにも課金している二重課金な現状で、(買っているものは当然私的録音の範囲であるわけで)どこをどうひっくり返したら「不当に害している」とでも言いたいような発言になるのか知りたいものでありますが。
HDDやフラッシュメモリは汎用ストレージであって無制限な課金対象にするには適さないでしょうに。
とりあえず条約を持ち出すのは筋違いであって著作権法第三十項第二項の「デジタル録音機器等を用いた複製」のレベルだけの議論のはずなんですけど。
消費者が知らないと思って「条約違反=国際的な恥=課金しないと外圧受けます」っていうイメージを狙って大声出しているようにしか思えませんが。
どこの朝日の印象操作だよ。
そのうちCPUとかメモリもチップレベルでも課金するべきだ!とか言うんだろうねぇ。
処理する機能を有しておりメモリはそれを蓄積できますからね。
ハードディスクも容量あたりで課金とかヨダレ丸出しな発言ですしね。HDDって増加の一途ですものね。
税金と同じで取りやすいところの押さえにかかってるのがステキですわね。
結局のところ
お弁当の具材を全部ちゃんと金払って買ってきて、弁当箱に入れようとしたら「おいその弁当箱は大きくていっぱい入るので弁当箱使用料を払え」って言われているようなもんで。前後繋がってないっちゅーねんと。音楽配信が伸長しているアメリカでそんな課金してないっちゅーねんと。
そもそも石油関連製品に二重課税しているような構造を創りたいってどのツラさげて偉そうに喧伝してますか。
作品に対する正当な対価は得られるべきでしょうけど穿き違えている人には逆らいたい、そんなお年頃。
■ 速やかに「iPod課金」を――音楽関係7団体が強く要望(ITmedia)
■ 音楽関連7団体がiPodなどへの私的録音保証金適用を要望-文化庁の結論は先送り (impress)
*インプレスのほうに記事を見つけてこちらのほうが細かかったので追記。
■ 著作権法(日本著作権情報センター)
■ ベルヌ条約(同上)
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